券売機左上を昼夜で入れ替えている有名店も

大激戦区にある有名店の話ですが、こんな例もあります。

券売機左上のボタンを、昼と夜とで入れ替えていたのです。ランチタイムは集中して大勢の客が来店するから「ラーメン」を。夜営業は比較的ゆっくりされても問題ないので、単価の高い「つけ麺」を。新規客が多く、行列が絶えないお店ならではですが、利益を出すことと、少しでもお客様をお待たせしないことを両立させる工夫ですね。

つけ麺
写真=iStock.com/Artit_Wongpradu
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いずれにしても、自由に食べたいものを頼めばよいわけですが、こうしたことを知っておくと、購入、オーダーがスムーズです。券売機の前に立つと、早くしなければ……と焦ってしまう私のような人だけかもしれませんが。

人は時間と見た目、量にお金を出したがる…

ラーメン界で言われてきた問題に「1000円の壁」があります。今でこそ、それを打ち破る店が増えてきたものの、ラーメン1杯は1000円を超えられない、超えてはいけないという、長らく日本人に根付いている意識です。

物のない時代は、少量のガラと野菜くずが主なスープ材料。それに比べて今は地鶏などの高級素材だったり、使う量が膨大です。なのになぜ値付けで苦しんでいるのか。今はコンビニで挽きたてコーヒーが手軽な値段で飲めるようになりました。しかし喫茶店のコーヒー600円に誰も文句は言いませんね。1杯で1時間過ごせるからです。

人は時間と見た目、量にはたやすくお金を出しますが、品質にはあまり払いたがりません。基本的にラーメン店は長居しない場所です。よく引き合いに出されるものに「パスタ」があります。ラーメンに対してパスタは高すぎる……というもの。

味の前に、パスタは歴史あるイタリア料理。全店、全世界に共通したスタンダードがあり、どの店にも数十種のメニューが用意され、選ぶ自由度があります。それに比べると、ラーメンは自分の好みに合うかどうかのギャンブル性が高い。そしてパスタは、食後にセットのコーヒーを楽しむ時間までも含めた満足度を提供します。