総合格闘技団体UFCは、かつて「全米で最悪のブランド」といわれていた。ところが、経営再建に成功し、2億円で叩き売られたブランドは、4500億円で取引されるほどに価値を高めている。米オーラル・ロバーツ大学経営学部のデビッド・バーカス准教授は「この成功をもたらしたのは、意外な人脈だった」という――。

※本稿は、デビッド・バーカス『ビジネスで使えるのは「友達の友達」 「冬眠人脈」の底知れぬ力』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

オフィスで握手を交わすビジネスマン
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旧友に相談して資産が劇的に増えた話

私たちは、親友こそ最大の財産であるかのように振る舞いがちだ。ただし、社会的なサポートや信頼できる情報源に関してはそのとおりかもしれないが、機会については、必ずしもそうではない。

複数の研究から、最大の機会と最適な新しい情報は、「弱いつながり」や「休眠中のつながり」から生まれることがわかっている。つまり、長い間会っていない、話をしていない人々だ。

たとえば、新しい情報を知りたいときや転職したいときは、最近、親しくしている人々に「ここだけの話」だと相談するより、古い友人に連絡を取るほうが望ましい。

ロレンツォ・フェティータは、自分が破綻寸前の総合格闘競技を救うことになるとは夢にも思わなかった。

カジノ王フランク・フェティータ・ジュニアの息子として、ロレンツォは格闘技の世界に無縁ではなかったが、将来はカジノ業界に進むことはほぼ確実だった。しかし、疎遠になっていた友人の行動を機に、ここ20年の大半をかけて、瀕死の状態だった総合格闘技団体UFCを時価40億ドル以上の世界的なフランチャイズに成長させた。もっとも、主役はロレンツォではなく友人のダナ・ホワイトだ。ホワイトはネットワークの弱いつながりを復活させ、自分とロレンツォの資産を劇的に増やした。