感染した子どもの75%が親からうつされている

いずれにしても、自分が「うつさない8割」なのか「うつす2割」なのかということは、感染前にはまったくわかりません。自分自身がスーパー・スプレッダーにならないためにも、やはり従来どおりの感染対策は大切です。

ちなみに、新型コロナに感染した子どもの約75%は、親からうつされています(日本小児科学会の小児レジストリ)。この逆に、子どもが親にうつすケースはあまりありません。家庭内感染を防ぐためには「大人が感染しないこと」が肝要であるわけで、その意味からも感染対策には十分に気を配っていただきたいと思います。

変異株とはなにか

2021年1月頃から、日本でも変異株という新たな問題が表面化しました。あらゆるウイルスは、環境に適応して生き残っていくために、増殖を続けながら遺伝子情報を変化させていきます。これが変異です。

COVID-19新しいラムダバリアント
写真=iStock.com/koto_feja
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新型コロナウイルスもまた常に変異を起こしていて、だいたい1カ月に2回のペースで大きな変異が起こると考えられています。ですから、流行初期の新型コロナウイルス(いわゆる武漢株)は、もう世界中のどこにもいないと思われます。

今いるウイルスはすべて変異株であるわけですが、その中で特に懸念すべき特徴を持っているものを、私たち専門家は「VOC(Variant of Concern)=懸念すべき変異株」と呼んでいます。メディアでよく言われる「変異ウイルス」はこのVOCを指すことが多いです。

2021年6月現在、日本でVOCに指定されているのはイギリス由来、インド由来、ブラジル由来、南アフリカ由来の変異株です。いずれもすでに日本に上陸していて、「従来株よりも感染性が高いのではないか」とか「ワクチンの有効性が低下するのではないか」といったことが懸念されています。

これら4つの変異株は、まったく突然日本に現われたわけではなく、どれも海外から入ってきたものです。たとえばインドとまったく接点のない人がインド株(デルタ株)に感染したケースがありましたが、これは「誰かが日本に持ち込んだインド株が市中に広がっている」ということです。

もちろん検疫所ではPCR検査をしています。しかし、100%正確な検査方法というのは、実はこの世に存在しません。