健康的、環境にやさしいといった特性から自転車が見直されている。特に最近では“ママチャリ”も復活が目覚ましい。その理由の1つが、高すぎるガソリンの値段である。これまで通勤にマイカーを使っていた会社員や自営業者の人たちが、経済性のいい自転車に乗り換えているのだ。

図を拡大

千葉、東京など首都圏周辺に93店舗を展開するセオサイクルグループの瀬尾正忠代表は「この7月から販売台数が上向いてきた。8月も勢いを保っている。通勤用に買われているママチャリタイプの売れ筋は1万5800円前後。購買層の中心は30~50代の家族持ち男性」と話す。

自転車産業振興協会のデータも、自転車マーケットの回復ぶりを示している。今年前半4カ月こそ、台数ベースで前年同月に届かなかったものの、ガソリン高騰に歩調を合わせるかのように5月からはプラスに転じた。瀬尾代表は店頭での販売状況を見ながら、「年内はこの調子で進み、昨年より5~6%の伸びになるだろう。加えて材料費の値上がりで、自転車の単価も上がっており、金額ベースでは8%程度のアップになりそうだ」と読む。

実は自転車市場は、少子高齢化の影響などで、ここしばらく出荷台数は下降傾向だった。そうしたなか、出費を抑えざるをえなくなった家計の状況の変化が、自転車業界に活力をもたらした。さらに、一部ユーザーのなかで5万円台の高品質のものへ乗り換える動きが出ているうえに、女性の購入も目立ち始めており、自転車市場の快走はこれからも続きそうだ。

(ライヴ・アート=図版作成)