商品に地名や地元特産品の名前を冠した「ご当地バーガー」が人気を呼んでいる。代表的なものが、図表にあるような北海道のタラバガニや広島県の牡蠣を素材として使った変わり種だ。多くは町おこしの一環として始められたものだが、ハンバーガーを目当てにやってくる観光客も増え、いまやそのトレンドは全国各地に広がりつつある。
火付け役となったのは「佐世保バーガー」。アメリカの海軍基地がある佐世保は、戦後間もない頃から手作りのハンバーガー店が登場し、市民にも親しまれてきた。そこで佐世保観光コンベンション協会は、2001年に観光客向けに市内のバーガー店マップを作成、積極的なPRに取り組み始めた。
同協会企画イベント部は「昨年、新たに佐世保バーカーの認定制度をつくった。現在、その認定店の数は32店。これがマスコミなどでも紹介され、週末になると県外から食べに来る人たちが目立つようになった。実際、年間観光客数は数年前の400万人前半から500万人近くに増えている」と話す。
そうした中、大手企業も動き始めた。モスバーガーの東京・神楽坂店は、7月からこの店限定の「神楽坂バーガー」(950円)を売り出した。同社の川越勉新規事業部シニアリーダーは「コンセプトは、神楽坂という場所の伝統と新しさを踏まえた和と洋の融合。発売4カ月で、店全体のハンバーガー売上数の半数を占めるまでになった」と語る。同社では、そのほかにも地域限定商品を提案し、顧客の掘り起こしを狙っていく考えだ。
(ライヴ・アート=図版作成)