低価格のミニノートパソコンが売れている。今年1月に台湾メーカーのASUS(アスース)が5万円を切る機種を発売したことで火がついた。そして、同じ台湾メーカーのエイサーや業界首位のヒューレット・パッカード(HP)が追随。さらに、この9月には業界2位のデルが同じ価格帯の機種の販売を開始した。役者が出揃ったことで、年末商戦に向けての競争激化が予想される。
民間調査会社BCNのアナリストである道越一郎氏は「ディスプレー画面が10インチ以下のものをミニノートPCと定義している。2台目としての購入や通信端末としてのニーズを掘り起こし、販売台数は8月で対前年比20倍近くに達し、ノート型に占めるシェアも2割に乗った。年末には3割に近づく可能性も高い」と分析。昨年は1400万台余りだったパソコン全体の出荷台数も押し上げると見ている。
しかし、低価格ゆえに利幅が薄く、薄利多売でないとペイしにくい。道越氏は「それだけに世界規模の販売網がないと勝負は難しい」と話す。今年8月時点での販売台数シェアは、先行したアスースが5割超。次いで、エイサーが約3割だが、ここにHPとデルが割って入ることは間違いないだろう。
半面、日本勢は商品化に慎重だ。その中で富士通が、香港やシンガポールなどで500~600ドルの小型パソコンを売り出し、日本国内でも来年夏に発売するという。そうした動きに東芝も追随。いずれにしてもパソコンの分野で勝ち残るには、市場参入は避けて通れそうもない。
(ライヴ・アート=図版作成)