ロシア、ベトナム、日本は「宗教復活」した国
参考までに、世界の主要国におけるこの設問の年齢別結果を対比させたグラフを図表5に掲げた。
上の散布図(図表3)で「脱宗教化」に位置した米国やフランスでは、かつての日本と同様に高齢者ほど信心深く、若者にとって神の存在感は薄れている。ところが、これとは対照的に、ロシア、ベトナム、日本といった「宗教復活」に位置した国では、高齢者ほど信心深くはなく、むしろ若壮年層がもっとも信心深くなっている。
ただし、ベトナムは45~54歳層で、ロシアでは35~44歳層でもっとも「神の存在」を信じる割合は高く、「宗教復活」がかなり前から起っていると見られるのに対して、日本の場合は16~34歳という最も若い層で、同割合が最高となっており、宗教復活が最近の現象だという違いが認められる。
ソ連崩壊や開放政策といった社会主義の凋落という激変に直接さらされず、単に思想上の潮流変化の影響を受けているだけの日本では、「宗教復活」に見える現象の到来もやや遅くなったのであろう。
日本では、若年層の自民党支持率が高齢者より高いなどの現象が起きており、これに対して、「若者が保守化している」と解されることが多いが、これは高齢層からの一方的な見方にすぎない面が大きい。むしろ、そう見える変化は、ここで神の存在感について分析したのと同様に、一時期、勢力が大きかった近代思想・社会思想の影響力が日本で減退してきただけだと見ることができよう。