神の存在を信じるか……最新の「世界価値観調査」によれば、日本は、世界の中でも、中国や韓国と並んで信じる率がとても低いことがわかった。統計データ分析家の本川裕さんは「同じ東アジアでも台湾は信じる率が高い。また日本国内では65歳以上の高齢者層は最も信じる率が低いが、16~34歳の若者層は最も高かった」という――。
神に近い国、神から遠い国が入り交じり、世界は多様
本年5月の本連載では「世界価値観調査」(※)の同性愛許容度の結果から、日本人全体としては世界と同様に「同性愛に寛容になってきているものの、若い男性は少し別」という内容の記事を掲載した。
※世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する調査。1981年から開始され、1990年からは5年ごとに実施。ただし7回目の最新調査は前回から7~10年後の2017~20年(日本は9年後の2019年)となっている。本調査は各国毎に全国の18歳以上の男女、最低1000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査。
今回は、本調査の「神の存在」を信じるかどうか、に関する部分から日本を含む世界各国の精神構造の対比や世界的な変化の動きについて概観してみよう。
神の存在を信じているかどうかについて、「信じている」「信じていない」「わからない」の割合を対象となっている世界77カ国について図示した(図表1)。国の順番は「信じている」の割合(青線)の大きい順である。
世界77カ国の「信じている」の割合は最も高いエチオピアの99.9%から最低である中国の16.9%まで大きく異なっている。神の存在感は国によってまことにさまざまであることが分かる。
一目瞭然なのは、神の存在を信じている国民の多さである。90%以上の国民が「神の存在」を信じている国は36カ国と半数近くにのぼっており、95%以上に限っても26カ国もある。
95%以上と国民のほとんどが「神の存在」を信じている国のリストを図表2に掲げたが、イスラム圏の国が12カ国と最も多く、カトリック国が9カ国、それ以外の途上国が5カ国となっている。