「自分はしたくないのに、妻がしたがる」
仕事や育児に追われる日々、気がつけば「しばらくセックスをしていない」という夫婦は少なくない。そうしたセックスレスの状況を、夫婦がお互いに受け入れ、うまくいっている分には夫婦生活においても何ら問題はない。問題なのは、どちらか一方がセックスレスの状態に不満や悩みを抱えている場合だ。
不満を持っているのが妻の場合、その多くは「セックス=愛されている証し」としてとらえているために、「求められなくなったのは、もう愛されていないからでは?」と心に傷を負うことにもなる。セックスレスが続くことで妻として、女性としての自信を失い、離婚を考える人もいる。
ところが興味深いことに、セックスレスに悩みを感じているのが夫の場合、一昔前と今では相談者たちの心境に変化が見られる。以前なら、夫側からのセックスレスの相談の多くは「自分はしたいが、妻がさせてくれない」というケースが大半を占めていたものの、最近では「自分はしたくないのに、妻がしたがる」というケースが増えているのだ。
「自分はしたくないのに、妻がしたがる」という夫たちの本音はどこにあるのか。たとえば、こんな実例もある。
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出産の現場で頭をよぎった「これでよかったのだろうか」
【CASE1】「立ち会い出産」がセックスレスのきっかけになったケース
「どうしても妻に欲情できなくなってしまった」と肩を落とすDさん(32歳)は、セックスレス歴1年になる。夫婦がセックスレスになったきっかけは1年前、Dさんより2歳年下の妻が出産をしたことだった。
Dさん夫婦にとっては、はじめての子どもの誕生。「記念すべき初出産には、ぜひ立ち会って」という妻からの強い要望もあって、そこまで乗り気ではないDさんも「断れる空気じゃなかった」と分娩室に向かった。
その結果、「命がけで子どもを産む妻の姿に感動した。だが、その一方で自分の想像をはるかに上回る壮絶な出産風景に言葉を失った」というDさん。子どもが誕生した瞬間を見守ることができたというよろこびとは別に、「はたして、これでよかったのだろうか?」という漠然とした不安が一瞬、頭をよぎったという。