妻とセックスすることが怖くなった
Dさんの不安は、妻の出産以降にセックスレスという形で的中した。「これまでセックスをすること以外に考えもしなかった妻の体が、生まれた子どものための“神聖な母体”に変わった」。Dさんは、妻とセックスすることが怖くなってしまったのだ。
今のところ、妻は乳児の世話に忙しく、セックスレスになったことを意識していないとのこと。Dさんの心配事は、そのうち妻から「二人目が欲しい」と言われたらどうするか、だという。「『ごめん、もう抱けなくなった』と告白し、その理由を打ち明けたら最後、夫婦関係が悪化するのは避けられないのではないか」。
「身勝手なことを言っているとは思うが…」
【CASE2】「妻の鬼嫁化」でセックスレスが日常になったケース
妻の貫禄や気迫がセックスレスの状況を生む場合もある。Wさん(53歳)は、彼が20代の時に職場で知り合った今の妻と結婚。「もともと面倒見のよかった妻は、職場でも『アネゴ』と後輩たちから慕われていたが、結婚後はますますパワフルになった」と評する妻は現在50代になり、高校生と大学生の二人の息子を抱える、「鬼嫁」へと進化したという。
「身勝手なことを言っているとは思うが」という前置きで、Wさんは現在の妻について語った。「家事はテキパキとこなすし、息子たちの世話もよくやってくれていると思う。ただ、結婚前と比べ20kg以上は太り、精神的にも強くたくましい母親の貫禄が備わったので、女性として見ることができなくなったのも事実」と正直な気持ちを打ち明けた。
じつは、Wさん夫婦はセックスレスになって15年以上もたつ。ときには、Wさんに対して命令口調や乱暴な態度で接する妻に対し、「夜になったからといって、鬼嫁の妻が急に『可愛い奥さん』に変わるはずもないし、もう自分も妻の見方を変えることはできない」と妻とセックスすることをあきらめている。
ちなみに、妻とはセックスレスの関係だからといって、今のWさんに妻以外の女性の存在はない。にもかかわらず、Wさんは「子どもたちの独立後、もしも自分に愛情を寄せてくれる女性が出現したら、今の妻と別れることになっても仕方がない」とチャンスをうかがっているのだった。