人生において「結婚」はどれだけ重要なのか。編集者・ライターの中川淳一郎さんは「コロナ騒動を通じて、『妻がいてくれることのありがたさ』を痛切に感じた。考えの合うパートナーと生活を長く共にすることは、危機のときの備えになる」という――。
手をつなぐ夫婦
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妻がいてくれることのありがたさ

人生を楽に生きるには、いかにして考えの合う配偶者/パートナーを見つけるかが重要──先日9回目の結婚記念日を迎えた折に、つくづくそう思った。

人生はひとりでもなんとかなるものだが、配偶者や家族がいれば日々の暮らしはもっと楽しくなる。いやまぁ、時には家族間で衝突することもあるし、ひとりで暮らしているときには発生しなかった面倒事にも対応しなければならないから、善しあしはある。ただ、それでも配偶者がいてくれて、私はよかったと痛切に感じているのだ。

以前、この連載でも触れたように、私が昨年来のコロナ騒動を通じて得た大きな収穫のひとつは「妻がいてくれることのありがたさ」である。「結婚生活って、いいものだな」と改めて実感したことは、理不尽でバカげたことばかりのコロナ騒動において、ほぼ唯一のよい経験だった。

仮に私が結婚しておらず、ひとりで暮らしていたとしたら、果たしてどうなっていたか。私は憤懣やるかたない日々に押し潰され、廃人になっていたかもしれない。以前から認識していたことではあるが、コロナ騒動を経て「考えが合う配偶者/パートナー」に出会えるかどうかでその後の人生は大きく変わる、という思いを強くした。

周囲に既婚者が増えると、付き合い方も変わる

20代は未婚の人も多く、既婚者に比べて時間もカネも比較的自由に使えるので、独身の友人どうしでいろいろとつるむことが可能だ。だが、30代も半ばを過ぎるころになると、家庭を持つ同世代の人間が周囲に増えてくる。家事を分担したり、育児に手を取られたりして、20代のときほど安易に友人とつるめなくなるのが一般的だ。

たとえば、未婚でパートナーもいない人間と既婚者との間で「来週飲まない?」「いいね!」なんて約束を交わしていても、当日になって既婚者から「子どもが急に熱を出した! ゴメン、家で看病しなきゃならないから、今日は行けない!」なんて連絡が入ったりすることは決して珍しくない。週末は週末で「家族サービスしなきゃ」「配偶者から『買い出しに付き合え』と言われている」「子どもの習い事がある」など、既婚者は家庭に関わる事柄で何かと忙しいものだ。

ただ、こうなってしまうのもやむを得ないことである。家庭を持つ人々は、家族を最優先するのが当然だからだ。配偶者や子どもはいちばん大事な存在なわけだから、そこをないがしろにするわけにはいかない。