オミクロン株にビビりまくる日本人

2021年11月、南アフリカ共和国で新型コロナウイルスの新たな変異株が採取され、WHOがこれを「オミクロン株」と名付けたのは同月26日のことだった。この報を受けてほどなく、岸田文雄首相は外国人の新規入国停止を発表。直後におこなわれた読売新聞の世論調査によれば、この判断に「賛成する」と答えた人が89%にのぼり、内閣支持率は前回調査と比較して6ポイント上昇の62%となった。

オミクロン株に対する日本人のビビりっぷりは、まさに過剰反応。2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号での集団感染が報じられたときや、同3月22日に開催された格闘技イベント「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN」が猛烈に批判されたときと同じような雰囲気で、「オミ株、ヤバい」という論調がにわかに高まった。

テレビではパンデミックのニュース
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「いまになって、また水際対策を強化するのか?」と違和感を抱かずにはいられない日本の対応の珍妙さは、決して「中川個人の感想でしょ」というレベルの話ではない。日本の鎖国令に対し、WHOは名指しで「理解不能」とコメントしているのだから。

煽りのトレンドは「濃厚接触者の人数」にシフト

ここのところ陽性者数がずっと低水準だったことから、12月に入って以降、報道のトレンドは「コロナ陽性者数」から「濃厚接触者の人数」へとシフトしていった。「陽性者数を煽りに使えなくなり、どうやって視聴者を煽ればいいのだろうか……」と頭を悩ませたであろうテレビが、「濃厚接触者の人数」をやたらと問題視し始めたのである。

12月12日、神奈川県川崎市にある等々力陸上競技場でサッカー天皇杯の試合がおこなわれ、観戦した人のなかにオミクロン株の陽性者がいることが判明。この人の座った席が明らかにされ、その周囲に居合わせた80人にもPCR検査をすると発表された。個人的には明らかに過剰な対応だと思うが、「コロナ、ヤバい」界隈の人々は恐れおののくばかり。彼らはいまだに「外国人は日本に入れるな!」「水際対策を徹底せよ!」「濃厚接触者は絶対に14日間、外に出るな!」の大合唱である。この空気は、完全にコロナ騒動の初期の頃──2020年2月~3月あたりと同じにおいだ。知らぬ間に振り出しに戻されてしまったかのような失望感。もはや“コロナ恐怖依存症”のような状態に日本は陥ってしまっている。ダメだ、こりゃ。この騒動は終わらない。