岸田文雄首相は「新しい資本主義」を説き、立憲民主党は格差是正、分配を強調する。しかし日本経済の課題はむしろ30年の間成長していないことで、政治は改革の徹底を訴えるべきではないか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(10月19日配信)から抜粋記事をお届けします。

「新しい資本主義」の自民党も分配優先の立憲民主党も中国と同じ道を目指すのか

10月14日、衆議院が解散された。19日からはいよいよ衆議院議員総選挙が始まる。投開票日は31日だ。

自民党から共産党まで、どの政党も「分配」を声高に叫ぶ。

目標は「格差是正、分厚い中間層の形成、賃金上昇……」。そしてその手法としては「現金給付、財政出動、特定分野への税投入、教育や大学機関への投資、富裕層や大企業への課税強化……」とほぼ似通っている。

ちょうど同じ時期に、中国では習近平国家主席が「共同富裕」という国家方針を掲げた。その内容が、なんと今、日本の自民党から共産党まで掲げている政策と似通っているんだよね。

つまり岸田政権が目指す「新しい資本主義」や立憲民主党が目指す「分配なくして成長なし」路線というものは、つまるところ中国と同じような経済政策をやろうとすることなのか。

30年経済成長していない日本は本当に資本主義が行き過ぎたのか

岸田文雄首相は、これまでの新自由主義から転換し、新しい資本主義を目指すと言う。立憲民主党はそもそも安倍政権の経済政策を全否定し、分配することで成長を目指すと言う。一部インテリの間でも、資本主義の否定がブームとなっている。

ところが、だ。

日本経済は1990年頃、今から約30年前からまったく成長していない。

GDPはもちろん、賃金も、株価もずっと横ばいだ。賃金は下がってすらいる。

他方中国はもちろん、世界の先進国は皆成長している。

こんな差ができたのは、資本主義が行き過ぎたのではなく、日本では資本主義が進んでこなかったことが原因なのではないか?

「成長は不要」と言い放つインテリよ、一般の国民にとって経済成長は必要だ

大学教授という立場で安泰な暮らしをしているインテリの中には経済成長など不要だと言い放つ者が多い。その方がかっこよく見えると思っているのかもしれない。

ただ、そういう斜に構えた物言いをする前に、「まずはお前たちの給料を日本の低所得者レベルにまで下げてから言え!」って言いたいね。

多くの国民はやはり今日より明日が良くなることを願っている。自分たちの給料が上がることを願っている。

もちろん高所得者から富の移転をしなければならないが、それだけで国民全体が満足いく暮らしをすることはできない。

(ここまでリード文を除き約900字、メールマガジン全文は約7200字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.268(10月19日配信)から一部を抜粋したものです。気になった方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【総選挙の論点】規制だらけで成長なき日本。「改革」を引っ込めた各政党に政権を託していいのか?》特集です。

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