◆この章のまとめ◆
宴席で、わかりやすくがんばってしまうこと、長いものに巻かれてしまうこと――どちらも、「ふつうの人間」が「よい」と思っていることを、無批判に受けいれるかまえです。そういう姿勢に距離を置くいっぽうで、距離を置いているじぶんが主流派になれないこともわきまえている――「かっこよさ」は、そこから生みだされます。
かりに幸運にめぐまれて、光源氏のように主流派になれたとしても、年齢とともにおとずれる変化には勝てません。いつまでも若さにこだわればこだわるほど、加齢は人に対し、残酷にはたらきます。
おもしろいことに、現在でも、華やかな青春時代をおくった人が、あとで光源氏とおなじ運命をたどることがしばしばあります。もう40代なのに流行の服を着て、20代の男性と張りあっている「イタい男」は、あちこちにいます。
逆に「素敵な大人」に見える人が、頭中将のように、若いころはそれほどでもなかったというケースも多いようです。
若いころうまく行っていた人ほど、年齢に応じてスタイルを変えるのは、むずかしいのでしょう。
私は、華やかさからまったく縁遠い青春をおくりました。せいぜい頭中将を目標に、精進していこうと思います。
※この連載は、プレジデント社の新刊『光源氏になってはいけない』から一部をネット掲載用に抜粋したものです。