強権統治をとる国は、欧米よりも中国に傾斜しがち
読売社説は指摘する。
「ASEANは米ソ冷戦時代、大国間の紛争に巻き込まれないことを目的に発足し、政治体制や発展速度の違いを乗り越えて拡大してきた。現在の米中対立下でも一体性を保つ意義は大きいはずだ」
「だが、現実には、ASEANの地域機構としての役割は低下し、対中関係やミャンマー情勢などで存在感を発揮できていない」
「大国間の紛争に巻き込まれない」どころか、米中対立のはざまに立たされている。読売社説も終盤で「強権統治をとる国は、民主化を要求する欧米よりも、内政に干渉しない中国に傾斜しがちだ。『親中』と『親米』に加盟国の色分けが進めば、結束の維持はますます困難になろう」と解説している。
ASEANが機能しない理由について読売社説は「かつてはインドネシアとタイがASEANを主導していたが、今はそうしたリーダー国を欠いているのが一因だろう」と分析する。しっかりしたリーダー国が現れるまで、日本がASEANを牽引する必要があるかもしれない。
読売社説は「ASEANが求心力を回復するには、ミャンマーでの軍の暴挙を停止させ、民主派との対話を促進することしかあるまい」と訴える。たしかにミャンマーの民主化を再び軌道に乗せることができれば、ASEANの地盤沈下も防げるだろう。ここでも日本の役割が期待される。