北朝鮮が「高級な洋酒とスーツ」にこだわっている理由
北朝鮮はアメリカとの対話に応じる条件として「鉱物の輸出」「石油製品の輸入」「生活必需品の輸入」の3つを挙げている。
3番目の生活必需品の中には、高級な洋酒とスーツも含まれている。これは金正恩氏が朝鮮労働党と軍の幹部らに高価な品を配給することで自らに対する忠誠心を高める狙いがある。
北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会副部長は8月10日、米韓合同軍事演習の事前訓練の開始について、次のような談話を発表した。
「韓国の背信行為に強い遺憾の意を表明する」
「我々の先制攻撃能力をさらに強化する」
「アメリカと韓国は重大な安全保障の脅威に直面することになる」
いずれの談話もこわもてだが、金与正氏は金正恩党総書記の実の妹で、常に兄を補佐するナンバー2の権力者といわれる。
「中国の北朝鮮擁護 平和を脅かす対米共闘だ」と産経社説
8月14日付の産経新聞の社説(主張)は、今回の「ASEAN地域フォーラム(ARF)」外相会議を取り上げ、「中国の北朝鮮擁護 平和を脅かす対米共闘だ」との見出しを掲げ、こう訴える。
「交渉への呼び水として、制裁緩和を持ち出すのは間違っている。北朝鮮は過去の米朝協議で何度も、譲歩を引き出しては非核化への約束を破った。北朝鮮を話し合いへと突き動かしているのは、制裁をはじめとする圧力であることも忘れてはならない」
その通りである。国際社会は北朝鮮の約束破りという前例を踏まえて判断すべきである。北朝鮮が核・ミサイルの開発を諦めれば、制裁は解除される。見せかけの中止で国際社会を欺こうとするから制裁が解けないのだ。話は簡単だ。北朝鮮が核・ミサイルの開発を中止すればいいのである。
こんな北朝鮮に味方する中国は「国際平和を脅かす」と批判されて当然だ。
続けて産経社説は書く。
「国連安全保障理事会の決議が北朝鮮に求めているのは、世界の平和と安全を脅かす、核・弾道ミサイルの廃棄である。実験停止は評価の対象とするに値しない」
「現に、先ごろ明らかになった安保理の専門家パネルの中間報告書は、北朝鮮が新型コロナ禍での国境封鎖や洪水被害による食糧難で人道危機にあるにもかかわらず、核・弾道ミサイル開発を継続していると指摘している」
前述したように、中国は「開発を停止している」ことを強調して制裁の緩和を求めているが、愚の骨頂である。北朝鮮に求められるのは、見せかけの「停止」ではなく、核とミサイルの完全な「廃棄」だ。中国はそれを分かったうえで、制裁緩和を持ち出しているのだ。中国は国連安全保障理事会の常任理事国のメンバーにふさわしくない。