(2)役割と責任範囲について合意する
グローバルチームの中では役割や責任範囲が重なる危険性が急激に高くなる。われわれがコンサルティング・サービスを提供した、ある大手ヘルスケア企業のグローバル人的資源担当副社長は、次のように語る。
「地域プレーヤーは強い縄張り意識を示すことがある。彼らは、グローバルな成長を推進する最善の方法は自分の地域を成長させることだと考える。だが、グローバル・カテゴリーの責任者は、グローバルな成長を推進することに責任を負う人々だ」
われわれはこの会社のチームに、各メンバーの責任範囲を理解させるためにそれぞれの役割を明確化する作業を行わせることにした。
まず、メンバーに次の2点を質問した。「自分の役割と責任範囲についてどの程度明確に把握していますか」「他のメンバーの役割と責任範囲についてどの程度明確に把握していますか」。
それからひとりひとりに、自分の仕事をさらに詳しく他のメンバーに説明するよう求めた。その後で、他のメンバーに意見を求めた。「皆さんはこの説明に同意されますか。それとも、この人の役割と責任範囲について別の認識をお持ちですか」と。それに続いて交わされた議論から、いくつかのズレが浮き彫りになった。
こうした作業は、メンバーの役割の見直しにつながり、結果的にすべてのメンバーの利益になる。