ますます巧妙化する詐欺の“大衆化”
気づかないうちに自分を騙そうとするメッセージを受け取ってしまう――そんなことは誰にでも起こり得るのである。
メールやSMS、SNSの通知は現代の生活に欠かせない存在であり、そこに紛れ込む詐欺の手口は年々巧妙さを増している。
近年は金融機関や宅配業者、ネット通販大手などを装ったメッセージが大量に出回り、利用者を不安にさせ、「早く対応しなければ」と冷静な判断を奪う。特に危険なのは「緊急性」を装った文言である。「口座が凍結されます」「荷物が返品されます」「再配達の確認が必要です」といった表現はいずれも日常でよく利用するサービスに似せており、反射的に動かされてしまう設計になっている。
こうしたメッセージに冷静に対処するのは、実は簡単なことではない。
さらに近年は、生成AIや「Phishing-as-a-Service(PhaaS)」と呼ばれる仕組みの登場によって、詐欺の“大衆化”が進んでいる。PhaaSとは詐欺メールの文面や偽サイトのテンプレートをセットで提供するサービスであり、技術的な知識がない人でも本格的な詐欺を仕掛けられるようになった。
誰でも生成AIを利用できるようになった結果、詐欺の数や質は急速に拡大している。
投資詐欺で狙われる人の特徴
また、SNSやメッセージアプリでは「友人に見えるアカウント」からの招待や広告、偽キャンペーンが広がっている。
知人のアカウントが乗っ取られていたり、巧妙に似せた偽アカウントであったりすることも多く、身近な人から届いたように見えるために信用してしまいがちである。
特に目立つのが副業や投資を装った詐欺投稿である。「スマホだけで月に30万円」「この投資案件は確実に増える」といった甘い誘い文句がXやInstagramにあふれている。美麗な写真や成功体験談を装ったストーリーが添えられ、広告と見分けがつかない場合も少なくない。
若い世代や収入に不安を抱えた人を狙い、「簡単に稼げる」という欲求につけ込むのが特徴である。
典型的な手口は、最初に少額の入金を求め、次に「もっと投資すれば必ず増える」と追加を促すというものである。被害者は「まさか自分が」と口をそろえるが、手口自体が誰にでも刺さるよう巧みに設計されているのである。
実際の被害は深刻だ。セキュリティ会社トレンドマイクロの調査によれば、ネットや電話を通じた詐欺に遭遇した人は回答者(16歳以上男女5070人)全体の6割を超え、そのうち3割以上が被害を経験している。

