数字でダマされる虚偽投稿を見抜くには

数字を利用したフェイクも多かった。

山口真一『嘘で満ちていく社会 データで読み解くフェイク時代の構造』(朝日新書)
山口真一『嘘で満ちていく社会 データで読み解くフェイク時代の構造』(朝日新書)

「夫婦別姓にしたい日本人はたった1%」という投稿はその一例である。一見データを根拠としているように見えるが、実際の世論調査とは大きく食い違っていた。複数の調査では賛成が20〜40%に達し、「実際に別姓にしたい」と考える人も10%前後存在する。

数字を示されると信じやすくなるのは人間の心理であり、だからこそ注意が必要なのである。

さらには「野党の議席は約半分が女性」といった候補者自身の発言もあった。与党より女性比率が高いこと自体は事実だが、参議院で36%、衆議院では20%程度にとどまる。

「半分」という表現は誇張にすぎない。候補者の発言であっても、そのまま信じるのではなく「本当にそうなのか」と立ち止まって考える姿勢が求められるのである。

これらの事例に共通するのは、どれも「一見もっともらしい形」で作られているという点である。切り抜き、過去映像へのすり替え、数字の誇張――いずれも人の感情を刺激し、短い時間で信じさせるように設計されている。

そして怒りや不安といった感情は拡散の動機を強め、虚偽の情報は一気に広がっていく。

もちろん、一次情報を確認したり、逆画像検索を用いたりすれば見抜けるケースは多い。しかし現実には、そこまで手間をかける人は限られている。

だからこそ、私たちは「自分も騙されるかもしれない」という前提に立つ必要がある。参院選を揺るがした数々の虚偽投稿は、特別な人だけが騙されたものではなく、誰もが日常的に触れてしまうような形で仕掛けられていたのである。

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