2021年6月に公開された、内閣府「令和2年度 少子化社会に関する国際意識調査」。この中で、回答者の6割が「日本は子どもを産み育てにくい国」と感じていることが明らかになりました。なぜ日本は子育てをしにくいのでしょうか。またどうやったら改善するのでしょうか。男性版産休の法制化を推進した、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏が、日本の子育てのしにくさの原因を解説します――。
赤ちゃんを抱えて疲れ切っている母親
写真=iStock.com/Jelena Stanojkovic
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日本の女性が家事育児にかける時間は男性の5.5倍

日本は子育てがしにくい国。これは私が2人の子どもを育てる中で、日々感じていることです。そのため、先日明らかになった内閣府の調査にて、諸外国に比べてネガティブな回答が多いことに、全く意外性を感じませんでした。私のように「それはそうだろう」と感じた人も多かったことでしょう。

子供を産み育てやすい国だと思うか

なぜ、日本は子育てをしづらいのでしょうか。理由はいろいろと考えられますが、女性の「ワンオペ育児」は大きな要因の一つです。

家事育児にかける時間を男女で比べてみましょう。女性が家事育児にかける時間は、1日につき224分。一方で、男性は41分。女性は男性のおよそ5.5倍も家事や育児を行っていることになります。欧米では多くても2倍程度なので、いかにひどい状況か、お分かりになるかと思います。こんな状況で、日本が子育てしやすい国になるわけがありません。

日本の男性が家事や育児コミットできない理由として、男性が長時間労働を強いられ、職場に閉じ込められていることが挙げられます。その象徴的なものとして、「男性が産休・育休を取りにくい環境」があると考え、今回の「男性版産休」法案成立に動いたというわけです。