20年訴え続けたけれど、大企業を変えるのは難しい

【白河】このオフィス自体、ベンチャーの人が入るコワーキングスペースですよね。すれ違う人も若い人ばかり。環境からして新鮮です。さて、お二人ともずっと金融業界で上場企業を相手に活躍されてきたわけですが、今回はなぜスタートアップ企業に注目されたのですか?

MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー 村上由美子さん「日本はもったいない」と断言。
MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー 村上由美子さん「日本はもったいない」と断言。(撮影=遠藤素子)

【キャシー】日本経済を活性化するには、グローバルに戦える企業を増やしていかなければなりません。でも、さびしいことにそうした企業はまだ日本には少なくて、海外投資家が重視するESGへの取り組みも不十分なままです。

私は、20年前から日本の大企業に対してESGの重要性を訴え続けてきましたが、やはり大企業の行動を変えるのってすごく大変なんですよ。

そんな時に村上さんがMPower Partnersのアイデアを出してくれたんです。大企業の、すでに大人になってしまった人たちにESGを浸透させていくより、スタートアップの若者たちに浸透させていったほうがいいんじゃないかと思うようになりました。

日本は「もったいない」

【村上】日本は学力などの個々の人的レベルは高いのに、新しいアイデアが事業化・商標化される率は驚くほど低いんです。私は、そうした国際比較データを見るたびに「日本ってもったいないな」と思っていました。本来、企業の開業や廃業は“新陳代謝”として経済の活性化につながるものなのに、日本は開業も廃業も少なくて3〜4%程度。これはあり得ない数字で、欧米では10%程度が普通です。だから日本は経済のダイナミックさが感じられない。だったら経済成長の源泉であるスタートアップ企業を支援していこうと。

【キャシー】そのほうが、日本経済の活性化に直接的なインパクトを与えられるはず。友達からは「大企業を変えたいんだったらアクティビスト(=モノ言う株主)対象のヘッジファンドをやればいいのに」というアドバイスもありました。株主の声があれば企業も変わるかもしれないし、そのほうがお金も楽に集まって儲かるからって。でも正直言って、大企業相手の仕事ってパラダイムシフトがおこりにくいので面白くないんですよ。私はもっと直接的に、社会や経済にインパクトを与えるような仕事がしたかった。MPower Partnersならそれが可能だと思っています。