女性比率36%、社員の大半が在宅勤務、男性育休は平均102日。徹底した働き方改革を継続する中、体力勝負の男性社会から、男女ともに働き方を選べる組織へと変貌してきたアクセンチュア。かつて体育会系の働き方が合わず辞めていった社員たちが、大勢出戻ってきているという。社内風土が変わるまでの過程を江川昌史社長に聞いた──。

30代前後のマネジャーに必須の研修

【白河】御社では全体の女性比率がすでに3割を超え、女性管理職も着実に増えていると伺いました。女性活躍に関して、女性の意識の問題とする企業も多いです。私は上司の意識のほうに先にアプローチするべきと思いますが、どうやって意識を変えていったのでしょうか。

アクセンチュア 江川 昌史社長
アクセンチュア 江川 昌史社長(写真提供=アクセンチュア)

【江川】アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の是正に向けたトレーニングを2014年から導入し、今では30代前後のマネジャークラス以上は全員必須としています。当社は20代の社員はほぼ男女半々ですから、彼らを束ねる立場の人に偏見があると、タフな仕事から無意識のうちに女性を外してしまうようなことが起きるからです。

もちろん悪意からではなく、本人としてはよかれと思ってやっているわけですが、それが女性にとっていかに迷惑かを理解してもらえるよう努めています。社員の中には、早く昇進したい人もいれば、自分のペースでキャリアを歩みたい人もいるけれど、そこに性別は関係ないんだと。それでも年に数件程度はバイアスと思われるケースが起きているので、今後も継続していかなければと思っています。

【白河】上司や男性から「女性だけが特別な働き方をする必要がある」という意識がなくなれば、管理職を目指す女性も自然と増えそうですね。ただ、他の企業からは、女性本人が管理職になりたがらないという声も聞きます。