男性育休「平均102日」はなぜ実現したか

【白河】その頃とは雲泥の差ですね。今は昇進のスピードは遅くなっても、それぞれに着実なキャリアが用意されていると。その時期に応じて、本人がコースの選択が可能なのですね。その点で言うと、御社は男性育休も非常に長くて驚きました。

【江川】男性育休は私もとりたかったんですが、その頃は制度がありませんでした。今は男性社員の40%が育休を取得していて、平均して一度に102日休んでいます。確かに、この日数は他社に比べて飛び抜けていますね。これにはコンサルティング会社特有の事情もあるかもしれません。仕事の切れ目を捉えて「育休に入るから次の仕事はアサインしないでね」と言えば、3カ月ぐらいは空けることができますから。加えて、育休をとったことで評価が下がるようなこともないので、それも安心して休める要因なのではと思います。

女性は当然100%育休をとっていて、日数も平均300日を超えていますが、男女いずれもそれで評価が下がることはありません。復帰後、時短勤務になっても評価が下がることはありません。育休明けに即昇進ということも普通にあります。

女性管理職比率を伸ばす3Rプログラム

【白河】それは画期的ですね。女性は育休、時短勤務によるキャリア中断が昇進に響くことも多く、それが女性管理職が増えない一因になっているとも言われています。でも御社では、そうした懸念もなさそうですね。

【江川】育休が昇進に響くことはありませんが、当社も女性管理職比率はまだまだ伸ばす必要がありますから、そのための取り組みは継続しています。その一つに、女性の昇進に必要な3条件を整えるための「3R(ライトクライアント、ライトロール、ライトスポンサー)」というプログラムがあります。これは女性に対して、活躍できる「正しい機会」、プロジェクトの中心人物としての「正しい役割」、精神的サポートを行う「正しい後援者」を提供するもの。今、女性管理職比率がじわじわと上がってきているのも、こうした支援策の成果だと思っています。