健康寿命を延ばす秘訣は何か。医師の和田秀樹さんは「若い頃の健康常識をアップデートすることが必要だ。血圧、塩分、コレステロール、どれも健康の敵のように言われているが、決してそんなことはない」という――。

※本稿は、和田秀樹『女80歳の壁』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

ラーメン
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1杯ですべてが摂れる「総合栄養食」とは

若返り 予防の秘策は ラーメンです

年をとると、「関節が痛い」とか「手指が痛い」という人が多くなります。関節は、コラーゲンが減ってくると動きが悪くなるため、痛むのです。女性ホルモンの影響も、多少はあるかもしれませんね。

なので、これを防ぐには、やはりお肉などを積極的に食べたほうがいい。たんぱく質と脂質を摂取するには、お肉がいちばんだからです。

また、手指のしびれの原因には、末梢神経炎も考えられます。ビタミンB12の不足によって起こるのですが、補うためには「ビタミン類を足す」という意識が必要です。ビタミンB12は、魚介類に多く含まれるので、お肉だけでなく、お魚も食べるようにしたらいいと思います。

こんな話をすると、患者さんからは、よく聞かれます。

「先生、一度にいろんな栄養が摂れる食べ物はないの?」と。

そこで、私がお勧めするのは、ラーメンです。

年齢とともに「常識」もアップデート

「ラーメンは若い人の食べ物」というイメージがありますが、そんなことはありません。じつは“幸齢者こそラーメン”なのです。

なぜか?

栄養の塊だからです。ラーメンのスープは、10種類から15種類の食品を入れて煮込んでいます。牛・豚・鶏の肉や骨、緑黄色野菜、根菜、キノコなど、あらゆる食材をバンバン入れてグツグツ煮込む。それらの豊富な栄養素が鍋に溶け出ています。しかも麺は炭水化物ですから、糖質も摂れます。トッピングで野菜を添えれば、1杯ですべてが摂れる「総合栄養食」なのです。

年をとるということは、これまでの常識が通じなくなる、ということでもあります。つまり、意識を変える必要があるわけです。

例えば、栄養面に関しても、幸齢期には「余っている害」より「足りない害」のほうが大きくなります。だから「雑食性のほうが体によい」という意識にしていったほうがいいのです。

家でパパパッと料理ができるのも女性の強みですが、どうしても同じようなメニューになりがちです。なので、ときには外食を取り入れる。

お友だちとおしゃべりしながら食事をするのもいいし、ひとりでラーメンを食べに行くのもいい。意識的に行動変容をしてみることが、幸齢期を乗り切る秘訣だと思うのです。