報道内容を相次いで訂正した文春、NHK
元タレントの中居正広さんと女性とのトラブルにフジテレビの幹部社員が関与していたとする「週刊文春・電子版」の記事に関し、週刊文春は1月28日に記事の一部を訂正した。
NHKは2月10日の「ニュース7」で、「2002年に故ジャニー喜多川氏からNHK放送センター内のトイレで男性が性被害に遭った」という過去報道について、誤りがあったことを訂正した。
大手メディアの過去報道の訂正が続いて起こったのだが、両者ともに報道したメディア側が強く批判されるに至っている。
誤報が起きたこと自体が問題であることはもちろんなのだが、メディアの訂正と謝罪のやり方にも問題があったことは間違いない。
読者・視聴者に支持されるメディアになるためにも、訂正と謝罪の仕方を見直すことが急務であると筆者は考えている。
文春もNHKもできなかった“謝罪の基本”
筆者は、広告会社に19年間勤務してきたなかで、広告表現に問題があって訂正を行ったり、商品回収(リコール)広告、あるいは不祥事が起きた際のお詫び広告・謝罪広告を出稿したり――といった、トラブル対応にも関わったことが何度かあった。
広告業界に限らず、間違いを犯した際には、下記の3点が重要になる。
1.誰に謝るのか(Who) ⇒ 損失を与えた人や組織に対して謝罪する
2.何を謝るのか(What) ⇒ 間違ったことに対して、誠実に謝罪する(ただし、間違っていないことまで謝る必要はない)
3.どうやって謝るのか(How) ⇒ 訂正や謝罪は、影響をおよぼしたのと同範囲かそれ以上の範囲で行う
文藝春秋社もNHKも、この3点ができていなかったように思う。この2社に限らず、メディアが誤報の訂正を行う際には、概してこれができていない。
単なる慣行なのか、「メディアは特別だ」という特権意識があるのかはわからないが、「メディアの常識は、世間の非常識」となってしまっているように思える。