「解雇規制が緩和されたら、突然失業してしまう社会になる」。にわかに盛り上がった解雇規制緩和の議論。しかし、実は今の日本でそんな心配は無用だった。日本の解雇規制の実態とはどのようなものか。また、これから一生食べていくための方法とは。企業再生のプロ・冨山和彦氏に聞いた――。
解雇予告通知書とそれを受け取った人の手元
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間違いだらけの「解雇規制の緩和」議論

Question.1 日本では一度人を雇うと解雇するのが難しい?

自由民主党の総裁選において「解雇規制の緩和」を争点化する動きがあった。賛成派は、「競争力を高めるには人材の流動化が必要だが、日本は一度人を雇ったら解雇がしにくい」というロジックで規制緩和を求めるのに対して、反対派は「海外のように経営者の都合で勝手にクビを切れるようになると社会が不安定になる。企業は雇用を守れ」と反論する。

この議論はナンセンスである。なぜなら、賛成派、反対派、どちらにおいても議論の前提が間違っているからだ。