ISILもジハードを宣言
一方、イラク・レバントのイスラム国(ISIL)でも、2014年7月に当時の指導者アブ・バクル・アル・バクダディが、中国へのジハードを宣言(*7)。さらに今回のコロナ禍について、ISILは機関誌「アルナバ」上で中国の初動対応を非難している(*8)
アルカイダやISIL、それに関連するテロ組織ネットワークの動きは、米軍などによる大規模な掃討作戦の結果、以前ほどの脅威ではなくなっている。とはいえ、彼らは今でも活動を継続しており、今年9月11日までに行われる米軍の完全撤退によってアフガニスタンの治安が悪化すれば、中長期的にはアルカイダをはじめとするテロ組織が再び息を吹き返しかねない。
国際的なテロ組織ネットワークが、中国国内でウイグル人の独立を支援するようなテロを起こすことは、各組織の現状やこれまでの経緯をみても考えにくい。だが中国が「一帯一路」路線を続ける限り、今パキスタンで散発的に起きているような現地の中国権益を狙ったテロが、中東やアフリカの各国で表面化する可能性はあると言わざるを得ない。
(*1)Brian Fishman “Al-Qaeda and the Rise of China: Jihadi Geopolitics in a Post-Hegemonic World”, The Washington Quarterly • 34:3 pp. 47-62. Copyright # 2011 Center for Strategic and International Studies.
(*2)上記P49
(*3)“「中国、6年以内に台湾侵攻の恐れ」米インド太平洋軍司令官“, AFP BB News, 2021年3月10日
(*4)Hamid al-Ali, “Post 9/11 World,” Ana al-Muslim, September 11, 2008, etc.
(*5)Jean-Pierre Filiu, “Al-Qaeda in the Islamic Maghreb: Algerian Challenge or Global Threat?”, Carnegie Papers Middle East Program Number 104 October 2009
(*6)Christina Lin, “Al Qaeda and ISIS have declared war on China -- will Beijing now arm the Kurds?”, The Times of Israel, OCT 28, 2014
(*7)Elliot Stewart “The Islamic State stopped talking about China”, warontherocks.com, January 19, 2021
(*8)Bridget Johnson “ISIS Tells Followers to Pray to Avoid Coronavirus, Slams China Over Outbreak Response”, Homeland Security Today, February 10, 2020