【藤井】いずれにせよ、緊急事態宣言の4日後が感染者数のピークで、5日後から減り始めたということは、その2週間のタイムラグを考えれば、宣言による自粛効果とは関係なしに減ったのが明白です。これは2回目の緊急事態宣言でも同じです。

2021年1月7日に東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏1都3県に出て、13日に栃木・愛知・岐阜・京都・大阪・兵庫・福岡に拡大。「報告された感染者数」のピークは2021年1月8日です(全国の新規感染者7949人)。そうなる「現実の感染」のピークは2020年12月25日のクリスマス前後です。

「自粛要請して、補償が手薄いのでは話にならない」

【田原】2回目は緊急事態宣言を出した翌日が感染者数のピーク。最初より3日早いタイミングで出したんだね。3日だけ進歩したの。

京都大学大学院の藤井聡教授
京都大学大学院の藤井聡教授(写真提供=アスコム)

【藤井】いずれにせよ、2回目の緊急事態宣言も、感染者数のピークアウトに何ら貢献していないんです。新型コロナについてはさまざまな細かい議論が必要となりますので、このあたりでやめますが、緊急事態宣言の発出や解除に明確な基準がなく、成り行きで場当たり的な対応をしたことが大問題でした。

【藤井】宣言は期間や地域にもっとメリハリをつけ、自粛要請も何人以上の飲み会不可、複数人同室のカラオケ不可、イベントはマスク着用で飛沫対策を基本とするというように、明確に打ち出さなければ。なんとなく危なそうだから全国に出しておくか、みたいな宣言で国民を脅かし、自粛要請して、補償が手薄いのでは話にならない。

【田原】メディアによる検証も全然足りない。“発表ジャーナリズム”だから、政府や自治体発表を右から左へとたれ流して、ろくに検証しないんだ。

【藤井】まったく同感です。

「コロナで損した分を全部出す」粗利補償が最善の方法だ

【田原】東京の居酒屋は夜7時で酒類の提供終了、夜8時で閉店。協力してくれる店にはおカネを出しますと小池百合子都知事はいったんだけど、これもわかったようでわからない。

客同士の距離が必ず2メートル離れていてガンガン強制換気する店なら、夜10時まで営業しても感染は起こらないだろうし。それに夜7時にボトルを出せば、8時まで酒を飲んでいていいんだよね。あまり意味がないんじゃないか。