感染拡大を食い止めるにはどうすればいいのか。京都大学大学院の藤井聡教授は「自粛に応じてもらう代わりに徹底的な補償をすればいい。一人当たり毎月20万円給付しても日本が財政破綻することはない」という。ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談をお届けする――。(第1回/全4回)

※本稿は、田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)の一部を再編集したものです。

ジャーナリストの田原総一朗さん(左)と京都大学大学院の藤井聡教授(右)
写真提供=アスコム
ジャーナリストの田原総一朗さん(左)と京都大学大学院の藤井聡教授(右)

財政破綻論は「完全にデマ」である

【田原】藤井さんが掲げる提言「プライマリーバランスの黒字化にこだわるのをやめよ」、という問題を中心に話したい。2012年暮れに首相に返り咲いた安倍晋三さんは13年春以降、黒田東彦はるひこ・日銀総裁と組んで「異次元の金融緩和」をやった。

政府がお札を刷り、日銀が市中の国債はじめ株式や債券をガンガン買い入れ、出回るおカネを増やし、インフレターゲット2%を設定して、内需を拡大させようとした。「機動的な財政政策」で公共事業もやった。「成長戦略」と合わせて、アベノミクス三本の矢で日本経済をよくすると。

ところが『日本銀行「失敗の本質」』という本を書いた朝日新聞の原真人編集委員によれば、その結果、日本の長期累積債務は1200兆円、GDP比で220%に膨れ上がった。このままいけば間違いなく財政破綻で「第二の敗戦」だ、早ければ2025年にもそうなるという。藤井さんの反論を聞きたい。

【藤井】その話は完全にデマです。いたずらに危機をあおって人を不安にさせて注目を集めようとしているに過ぎません。本を買って嘘を読まされた人は、賠償請求をしなければいけないくらいです。

なぜか? 簡単なところから申し上げますと、財政破綻論者は、かつて政府の累積債務がGDPと同じ水準に達すれば破綻するといった。800兆円になったらとか、1000兆円を突破したらとか、ずっと「破綻する。破綻する」といい続けてきた。にもかかわらず、日本政府はまったく破綻していない現実があります。