コロナ禍で自粛の要請が続いている。休業や時短への補償は十分なのか。京都大学大学院の藤井聡教授は「自粛要請して、補償が手薄いのでは話にならない。『コロナで損した分を全部出す』という粗利補償が最善の方法だ」という。ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談をお届けする――。(第4回/全4回)
※本稿は、田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)の一部を再編集したものです。
自粛に応じた国民に補償を出すのは当たり前
【田原】まず藤井さんが提言している企業に対する「粗利補償」について議論したい。
【藤井】新型コロナ感染で最初の「緊急事態宣言」が出てから1カ月ほどたった2020年5月上旬、僕はKBS京都のラジオ番組で人びとへの補償の問題について話しました。タイトルは「『自粛しろ、でも補償はしない』は政府の虐待だ!」です。
【田原】補償しないことが、政府の国民に対する虐待? これは穏やかではない。
【藤井】過激です。僕の内閣官房参与としてのアドバイスを6年間も聞いてくださった安倍首相が率いる政府に対して、そこまで批判するのは裏切り行為だ、という人もいるかもしれません。
しかし、日本国民がふだんからまじめに高い税金を、いやいやながらでも支払っているのは、国や政府や自治体というものは、いざというとき自分たちを助けてくれる存在に違いない、と信頼しているから。その政府や自治体が、外出自粛だ、ステイホームだ、テレワークだ、とにかく家にいてくれ、という。
【田原】新型コロナの感染を封じ込めるにはそれしかない、と。
【藤井】そうかな、仕方ないな、と思ってみんな家にいる。欧米では若者などが中心になって冗談じゃないと、イベントを強行したり街で暴れたりするけど、日本人の多くは政府や都道府県のいうことを素直に聞きました。