【藤井】そうそう。しかも、居酒屋に酒を卸す業者、氷を納入する業者、毎日おしぼりを届ける業者など、補償すべき対象は飲食店だけじゃない。

だから自粛要請にともなう政府からの「補償」は、幅広く、あらゆる産業をカバーし、国民全員に行き届くものでなければダメなんです。この点でも粗利補償はよい方法です。従業員の賃金補償を含むから、仕事を失うパートやアルバイト対策を別立てでやらずに済むし、家賃など経費の支払いにも対応できますから。

このままでは、コロナ後にやり直しがきかなくなる

【田原】支援制度があれこれあるが、どれも申請が面倒なうえ金額が少ない。無利子で返済は3年後からといった融資制度は使えそうだけど、結局、借金は残る、しかもこの自粛騒ぎがいつまで続くかわからない。

田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)
田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)

ならば、夫婦そろってそろそろ高齢者(65歳以上)だから、思い切って店や旅館を閉めるか、というケースが増えるんじゃないか。後を継ぐ子どももいないし、処分すれば老後資金になり、年金と合わせてなんとかやっていけそうだ、と。

【藤井】そう。それで廃業してしまうと、コロナ禍が終わったとき、やり直しがきかない。さあ、やっとお客さんが前のように来てくれるぞと思ったら、ある観光地で旅館やホテルや土産物屋がこんなに減っていたというのでは、地域を再生できません。

日本政府は、ただちに粗利補償の制度設計をして、スタートさせるべきです。年100兆円を2年続けても問題ありません。

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