「実質 玉木首相」で大丈夫なのか
与党が大敗し、国民民主は大幅な躍進を遂げた今回の衆議院議員選挙。石破茂政権は、与党だけでは衆議院で過半数の議席を確保できず、国民民主の協力が不可欠となった。そのため、両者が経済対策や税制改正などの重要な案件ごとに協力する、「部分連合」を目指すことになった。「実質 玉木首相」といった見方もある。
新内閣が発足後に打ち出す政府の経済対策において、国民民主が、重要政策のキャスティングボードを握ることで、政府の経済政策、ひいては私たち国民の生活には、どのような変化が生じるのだろうか。
改革が不利となった二つの選挙
自民党の総裁選挙から衆院選までの2カ月弱の間で、政治・経済に関わる多くの政策論争が行われた。自民党の総裁選挙では、9人の候補者が乱立したが、現行制度の改革を明確に打ち出した小泉進次郎氏と河野太郎氏は決選投票に残れなかった。
逆に、改革よりも積極的な財政拡大政策を訴えた高市早苗氏が躍進した。石破茂氏も、もっぱら岸田文雄前首相の路線継承の安全運転を堅持したことで総裁の座を勝ち取った。
衆院選では、政治とカネ問題で批判を浴びた自民党が劣勢となり、同じ保守系で野党の国民民主と維新は、共に政党法の改正などで、政治の革新を唱えた。
ただ、成長戦略として、ライドシェアなどの規制改革を訴えた維新と比べて、国民民主党は、減税・社会保険料の軽減や生活費の引き下げで、「手取り所得引き上げ」を打ち出したことで議席数を大幅に増やした。いずれの選挙でも、「改革よりも財政支援」が支持されたことが共通している。