パンデミックによって消費のあり方が大きく変わった。投資家の藤野英人さんは「10年前は都心に豪邸を所有するのが富裕層の象徴だった。しかし今は地方に一軒家を構えるほうが価値が高い」という——。

※本稿は、藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

広い庭のある、地方の一軒家
写真=iStock.com/elenaleonova
※写真はイメージです

僕が東京のタワマンから逗子の家に引っ越した理由

僕自身は今、何にお金を使っているのか?

会社の社長をしていると言うと、「豪華な家や車にお金をかけているんでしょう」と思われがちですが、実はそういったものへの執着はそれほど強くありません。

今、僕が一番お金を使っている対象は「つながり」です。

家族とのつながり。

会社の仲間とのつながり。

友人とのつながり。

地域とのつながり。

自分の心や体とのつながり。

この1年を振り返って、大きな買い物だったなあと思い出すことの一つが、自宅の庭をアウトドアガーデンに改修する工事をお願いしたことでした。

キッチンとつながる窓の外にひさしをつけて、床に石を敷き詰めて。

雨の日でもアウトドア感覚で、家族や友人とバーベキューを楽しんだり、サンドイッチをほおばったりできるスペースをつくったのです。

こういうスペースをつくったのは、これまで以上に家族との時間を豊かに楽しめそうだし、お客さんも呼んでゆっくりと会話を味わえる時間をつくれそうだと考えたから。あれこれプランを描きながら少しずつ改修をするのも、ワクワクする時間でした。

藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)
藤野英人『14歳の自分に伝えたい「お金の話」』(マガジンハウス)

ちなみに、僕の家は神奈川県の逗子市にあります。海と山に囲まれ、陽光と穏やかな風に恵まれた、空気もきれいな地域です。

とてもお気に入りのわが町ですが、実は1年前までは東京の高層マンションに住んでいました。

マンションの中には好きなピアノを運び込んだり、景色のいい部屋を選んだりしていて、それなりに満足できる生活を送っていました。ところが、2020年の春を境に、僕の人生のデザインが根本から変わったのです。

きっかけは全世界を襲った新型コロナウイルスでした。