「寄付」は困った人も自分自身も助ける

お金の使い方として、「寄付」という選択を考える人も増えています。

君は「寄付」と言うとどういうものを思い浮かべますか?

駅前などの街頭で「募金のご協力よろしくお願いします」と呼びかける人たちを見たことはきっとあるでしょう。コンビニのレジの横に募金箱が置いてあることもありますよね。

最近はインターネットを通じて、寄付活動をする団体も増えました。2020年に新型コロナウイルスの影響で社会の状況が激変したときには、収入が途絶えてしまった人たちや、マスクなどの物資不足に困る医療関係者のために、たくさんの寄付プロジェクトが立ち上がりました。

君のお父さんやお母さん、あるいは君自身も寄付に参加したことがあるかもしれません。素晴らしいことだと思います。

僕が寄付を「素晴らしい」と考えるのは、困った人を助ける行動だからというだけではありません。

寄付は、社会全体の経済を活性化する行動でもあるのです。さらにいえば、その循環は、まわり回って自分自身を助けてくれます。

そう、君が寄付したお金は、実は君のお財布の中に返ってくる。場合によっては、寄付した金額以上になって返ってきます。

お金はまるでドミノ倒しのように影響する

寄付は自分のお金を誰かにあげる行動なのだから、お金は減るだけなのでは?

そう感じたかもしれません。では、わかりやすい例を紹介しましょう。

NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが2017年に始めた「グッドごはん」というプロジェクトがあります。

これは、困窮するひとり親家庭に向けて、食品を定期的に届ける活動です。個人や企業、学校などの団体から集めたお金や食品が、食費を十分に払えない家庭に届き、家族の健康を守るために役立てられています。

この活動の様子を報告する動画を僕は見たのですが、そこには「これまで食材を買うので精一杯だったけれど、食品の提供を受けられたことで、子どもにゲーム機を買ってあげられた」という声が紹介されていました。また、ホームページには「娘に暖かいコートを買いました」というコメントも掲載されています。

つまり、誰かが誰かに行う寄付によって、ゲーム機やコートを買うという“消費”が新たに生まれたのです。

その消費は、やがてゲーム機やコートをつくる会社、売る会社で働く人たちの給料になります。その給料を受け取った人たちがまた、何かを買い、そのお金がまた誰かの給料になり、世の中全体を潤していく。

このサイクルの起点の一つになっているのが「寄付」。そう、昨日、君がコンビニの募金箱に入れた10円なのかもしれないのです。そして、まわり回って、君のお父さんやお母さんの給料にもなって、君のお小遣いとして返ってくる。

面白いでしょう。お金はまるでドミノ倒しのように次から次へと誰かの生活に影響していくのです。