やたら自信過剰で、自分の実力をひけらかしたり、SNSで幸せそうな様子をオーバーにアピールしたり……。一緒にいる人のエネルギーを奪うその人、もしかすると“マニック・ディフェンサー”かもしれません。マニック・ディフェンサーを見抜くポイント、自分が疲れない方法を精神科医の井上智介先生に伺います――。
窓によりかかるビジネスマン
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一緒にいると、どっと疲れる……

「自分は何でもできる」「あの時うまくいかなかったのは、本気を出していなかっただけ」……、やたら自信満々でミスをしても認めない、あなたのまわりにも、そういう厄介なタイプの人はいませんか。その人こそ“マニック・ディフェンサー”の可能性があります。

マニック・ディフェンサーというのは、“マニック・ディフェンス(躁的防御)”をしている人。苦しさや不安がわきあがったとき無理に心の中で抑え込み、それを表に出さないように、躁に近いようなハイテンションで、活動的にふるまう人です。

マニック・ディフェンサーと一緒にいると、どこか居心地が悪くて、そわそわするような感覚になったり、一緒にいる時間を楽しく過ごせたとしても、家に帰って一人になると、どっと精神的に疲れたりします。

マニック・ディフェンスを引き起こすのは「急性的」と「慢性的」の2パターンあります。急性的なパターンは、身内の死別など、突然ストレスがかかったときにあらわれます。お子さんが事故で亡くなると、なぜか親がハイテンションになるといったことです。

増加する慢性的なマニック・ディフェンサー

最近増えているのは、慢性的なパターン。今の時代、SNSなどで他の人の活動や活躍が見えやすく、自分と比較しやすくなりました。他者に比べて自分が劣って感じられると自信がもてなくなり、自分は社会で役に立っているのか、必要とされているのか、果ては何のために生きているのか……、いわゆる“実存の不安”が慢性的に続きます。その不安がどんどん大きくなって、やがて抱えきれずマニック・ディフェンサーになってしまっているケースが多いのです。

そうすると根拠のない躁的な万能感から、冒頭でもお伝えしたような「自分はできる人間だ」「誰にも劣ることがないから大丈夫」という言動が前に出過ぎて、他人とトラブルを起こしてしまうのです。本当は不安を抑えているだけなのですが……。