リモートワークを認めてほしい、業務のフローを整理したい……。仕事の効率化を提案しても、頑なに変えない人がどこの職場にもいます。こういった頑ななタイプを説得する際にはどんなことに注意したらよいのでしょうか。精神科医の井上智介さんは、「ビジネス書などでよく推奨されているある表現が、頑ななタイプの人には逆効果になる」と指摘します――。
クレーマーとビジネスパーソン
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自己愛が強い自信家タイプ

頑なな人は「こだわりが強い」「頑固」といったネガティブな印象がある一方で、「芯が通っている」「ぶれない」とポジティブに評価されることもあります。ただの面倒な人と片づけられないのが厄介なところですね。

そもそも、どういったタイプの人が頑なになりやすいのでしょうか。

第一に、自己愛の強い人です。物事の考え方が常に自分中心。判断材料のすべてが、自分の過去の成功や失敗の体験なので、まず周りの人が言うことには耳を貸しません。「こっちのほうが効率がいいよ」と言ったところで、「これでうまくいっているから」という感じです。そういう人はプライドが高く、勝ち負けでしか判断できません。人に意見を譲ることは負けだと考えているので、相手の話には最初から興味を持たないのです。

保守的で何も変えたくないタイプ

また保守性が高いタイプも多いですね。何かを変えたり、今までと違うことをしたりすると、周りから反論がくるかもしれない、自信もないし、人の目も気になる、リスクを負いたくない……、だから、このまま変えずにいこうと。変えたことで結果的に失敗し、責任をとらされるのがいやというパターンです。

つまり頑なな人には、自己愛の強い自信家タイプと、自信のない保守的なタイプの2タイプの人がいるということです。