妻から頼みごとをされたとき、夫が「あるひと言」を付け足すことで、怒りを買ってしまうことがある。家事研究家の佐光紀子さんは「『あとでやるよ』などの曖昧な答え方をする人がいる。職場でそんな答え方をするかを考えてみてほしい」という――。(第3回/全3回)
※本稿は、佐光紀子『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか:妻と夫の溝を埋める54のヒント』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。
なぜ妻は「あとで」「ちょっと待って」にキレるのか
「妻に家事を頼まれたときに、「あとでやる」とか「ちょっと待って」って言うと、妻はキレだすんですよ。僕は、やらないとは言っていません。あとでちゃんとやるからちょっと待ってと言っているのに、どうして妻はキレるんでしょう? キレる妻にどう対処したらいいですか?」
以前、夫婦参加型の家事シェア講座のフリートークで、30代と思しき男性からこんな質問が出た。
「ある、ある」という共感が男性陣側から伝わってくる。一方で、思わず、「何言っているのよ」と言わんばかりのムっとした顔になる女性陣。それぞれの言い分がヒシヒシと伝わってくる、一瞬、部屋に緊張を走らせた質問だった。
確かに彼は「やらないとは言っていない」。いや、「やる」と言っている。だから、「少し待てよ」という気持ちはわからなくはない。しかし、彼の言う「あとで」や「ちょっと待って」の「ちょっと」というのは、一体どれくらいなのだろうか。
5分後なのか、30分後なのか。あるいは「風呂に入って、夕飯を食べて、TVを観た後」なのか。それが「あとで」や「ちょっと」という言葉からは伝わってこない。実はそこに大きな問題がある。