「9月に衆院を解散して総選挙」の可能性大

これまで菅首相は記者団との懇談で「政治家は衆院を解散して勝たなければ続かない」と話していた。つまり衆院解散後の衆院選を乗り切って首相を続投したい。これが菅首相の本音だろう。

続投には、衆院解散の時期を見極める必要がある。国民の支持がより多く得られるタイミングで解散総選挙に踏み切って勝たなければならない。

衆院議員は10月21日で任期満了を迎える。自民党総裁の任期満了はその約1カ月前の9月30日だ。この前に都議選(7月4日投開票)と東京五輪(7月23日~8月8日)、東京パラリンピック(8月24日~9月5日)がある。問題の新型コロナ対策も大きい。

荒天の日の国会議事堂
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こう考えていくと、菅首相は9月に衆院を解散して総選挙に打って出る公算が高い。その場合、総裁選は衆院総選挙後に先送りにするだろう。もちろん衆院選で勝つことが前提だが、衆院選の勝利後に総裁選に臨めば、総裁選は問題なく通過して自民党総裁も続投できる。

東京パラリンピックが9月5日で閉幕する。そのころには新型コロナのワクチン接種の効果もかなり出ているはずだ。突発的な政治日程にも左右されるだろうが、東京パラリンピック終了1週間後の「9月12日の日曜日」が衆院総選挙の投開票日になるのではないか。

新聞社説の酷評は「世論の声」である

読売新聞を除く全国紙が一斉に、衆参3選挙での自民党の全敗を4月26日付の社説で取り上げている。各社説の見出しを並べてみると、どれも菅政権に手厳しい。

「自民3戦全敗 政権運営、反省の時だ」(朝日新聞)
「衆参3選挙で自民全敗 政権半年への厳しい審判」(毎日新聞)
「自民党『3敗』 有権者の厳しい声を聞け」(産経新聞)
「菅政権は選挙全敗を真摯に受け止めよ」(日経新聞)

菅首相をはじめ政権幹部はこうした新聞社説の酷評を受け止め、日本という国の舵取りに全身全霊で取り組んでほしい。

まず朝日社説。冒頭部分から参院広島再選挙などの惨敗に対し、「菅首相は一連の審判を重く受け止め、政権運営全般の反省につなげねばならない」と主張し、さらにこうも指摘する。

「広島はもともと、衆院の7小選挙区のうち六つを押さえる『自民王国』である。地力の差がありながらの敗北は、事件へのけじめも疑念解消への取り組みも不十分な、自民と政権に対する有権者の強烈なしっぺ返しといえる」

「有権者の強烈なしっぺ返し」とはまさにその通りだ。菅首相はこの朝日社説の批判の言葉を正面から受け止めるべきだろう。