ASEAN会議に国軍トップが出席し、「選挙は不正」と主張
ASEAN(東南アジア諸国連合)が4月24日、インドネシアの首都ジャカルタで特別首脳会議を開催し、ミャンマーで起きたクーデターについて話し合った。ASEANはミャンマー国軍に暴力の即時停止を強く求めると同時に国軍と、アウン・サン・スー・チー氏率いるNLD(国民民主連盟)の双方に対し、平和的解決を目指す対話を促した。
東南アジアの10カ国で構成するASEANの一番の原則は、「内政不干渉」にある。加盟国が多様な政治体制をお互いに認め合い、干渉しないことを是としてきた。だが、今回は国軍の市民に対する実弾を使った弾圧から民主主義と自由を取り戻すために一歩踏み込んだ姿勢を示した。
しかし、である。驚いたことに、ASEANの会議には2月1日にクーデターを強行したミャンマー国軍最高司令官のミン・アウン・フライン氏も出席して次のように述べ、クーデターとその後の統治の正当性を強く主張した。
「昨年11月の総選挙で不正が行われ、その結果、NLDが圧勝した」
「ASEANの人道支援に反対しない。われわれは前向きに関与していく」
「デモが国の安定を脅かしている。われわれは治安維持のために行動している」
現在の死者数は1000人に及ぶ可能性
会議にはNLDからの出席はなかった。本来ならスー・チー氏の出席を求めるべきなのだが、ミャンマー国軍は事実の公表を恐れてそれを拒否したのだろう。スー・チー氏は国軍によって自宅に軟禁され、しかもでっち上げられた6件もの罪で起訴されている。
NLDからの出席者はスー・チー氏に次ぐ実力者でも良さそうなものだが、これも国軍がOKしなかったのだと思う。いずれにせよ、NLDからの出席者を迎えられなかったところにASEANの限界がある。
ASEANの特別首脳会議が開かれる前、ミャンマー国軍の弾圧に強く反発する市民たちは抗議デモで正月休暇(4月13日~19日)の祝賀行事を取りやめ、暴力と銃弾に倒れた死者を追悼するよう呼びかけた。国軍の無差別攻撃のような弾圧下ではとても新年を祝うことはできない。当然の呼びかけである。
この時点で死者数は700人を超えていたから、現在の死者数は1000人に及ぶ可能性がある。