中国とロシアは「内政問題」として扱い、「クーデター」とみなさない

この女性だけではない。数多くの若者たちが命を絶たれている。

欧米は強く非難し、独自の制裁を始めている。しかし、その効果は薄い。ミャンマー国軍は武器や生活物資を中国とロシアに頼っており、欧米依存度が小さいからである。

国連安全保障理事会が2月4日に出した「深い懸念」を示す報道機関向けの声明には、国軍を「非難する」文言は入っていない。声明には全会一致が原則で、中国とロシア同意が必要だからだ。中国とロシアは「内政問題」として扱い、「クーデター」とはみなしていない。中国とロシアは国軍寄りなのである。

ここはもう日本が出ていくしかない。沙鴎一歩はいまこそ日本の外交力の見せどころだ、と思う。

中国とロシアを巻き込むにはどうすればいいのか

4月27日付の読売新聞の社説は「ASEAN ミャンマー軍を抑えられるか」との見出しを付け、中盤でこう指摘する。

「『内政不干渉』を掲げるASEANが、問題の平和的解決に向けて積極的に動き出したのは、地域を揺るがす危機に対処できなければ、存在意義が問われるという懸念が高じたからだろう」
「だが、今回の議長声明で軍の行動が実際に変わるかどうかについては疑問が残る。声明は、混迷を生んだ軍の責任には言及せず、暴力の停止を求める対象を明記していない。軍に対する民主派解放の要求も盛り込まれなかった」

「存在意義が問われるとの懸念」、つまりASEAN加盟国は自分たちの立場を優先して動いたのだ。しかも肝心な声明に「軍の責任」や「民主派解放の要求」が欠如している。これでは先が見えている。

ASEAN加盟国には東南アジアの民主主義と自由、そして平和というものの在り方を自覚してほしい、と強調したい。

読売社説は最後に主張する。

「欧米や日本はASEANを支援し、中国やロシアも巻き込みながら、問題解決に向けて関与を強める必要がある」

問題は中国とロシアを巻き込むにはどうしたらいいかである。読売社説にはその具体的な方法を指摘してほしかった。