「スー・チー氏の解放」と「NLDの出席」こそが肝要

4月28日付の産経新聞の社説(主張)も「ASEANの仲介 国軍に遠慮が過ぎないか」(見出し)と批判的である。

後半でこう指摘する。

「対話により問題解決を目指すというのなら、当事者が国軍とNLDであることを明示し、その前提としてスー・チー氏らの解放を要求すべきである」
「本来は会議にNLDの代表も招くべきだった。ミャンマーの代表として出席した国軍総司令官に対し、一連の行動について厳しく問いただしたのか。国軍に遠慮した印象は否めない」

「スー・チー氏の解放」と「NLDの出席」こそが肝要なのである。

産経社説は訴える。

「総司令官がASEAN首脳会議出席を権力の正当化に利用する可能性もある。国軍の言い分を追認することになっては、むしろ逆効果である」

国軍のトップらは、反民主的な行動だと自覚している

ミャンマー国軍最高司令官のミン・アウン・フライン氏が出席した動機は、まさにここにある。国軍はクーデターとその後の反発する市民への暴力行為を正当化したいのだ。裏を返せば、国軍のトップらは、反民主的な行動だと自覚しているのだ。ASEANはその辺りをうまく突くべきだ。

産経社説は最後に「先進7カ国(G7)や国連が圧力を強めれば、ミャンマーがよりどころとするASEANの存在感は増し、仲介の困難は少なくなる。日本はこれら別々のアプローチの調整役の役割も果たすべきだ」と主張する。

「別々のアプローチ」とは、「G7および国連の圧力」と「ASEANの仲介」を指すのだろう。少々分かりにくい書き方だが、いずれにせよ、ミャンマーと古くから関係の深い日本が本気で調整に乗り出す必要があることには、沙鴎一歩も同感である。

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