死の間際、人はどんなことを後悔するのか

人が人生の終わりに考えること人生は誰もが満足して終えられるものではないかもしれませんが、私の経験上、多くの人が「いい人生だった」「自分なりに頑張った」という思いを抱えて最後を迎えられます。

ただ、中には「そういえば……もっとこうしておけばよかった」「そういえば……こんなふうに生きればよかった」といった後悔の念を抱く方もいらっしゃいます。よく現場で耳にするのは、「もう一度家族と旅行に行きたかった」という声や「もっとチャレンジすればよかった」という声です。

私たちは後悔も充実感も抱えながら、日々を生きています。最後を迎えるときも同じことなのかもしれません。しかし、まだ健康で人生の道半ばという人にとっては、できるだけ心残りを減らしたい、後悔をしたくないと思うのが人の心ではないでしょうか。

後悔のない人生とは何か、良い人生とは何か人生の最終段階を迎えた患者さんたちと時間を共にさせていただく中で、私は「後悔のない人生とは何か」「良い人生とは何か」を、ずっと考えてきました。

屋外で一緒に写真撮影する幸せな家族
写真=iStock.com/imtmphoto
※写真はイメージです

お一人おひとり、生きてこられた時代も背景も、大切にしてこられたものも違います。また、年齢を重ね、病気で亡くなられる方もいれば、幼いお子さんを残し、若くしてこの世を去られる方もいらっしゃいます。

すべての人に共通して言える「後悔のない人生の条件」「良い人生の条件」など、ないのかもしれません。

人生を後悔しないための4つの条件

それでも、人生の最後に「より後悔がない人生だった」「より良い人生だった」と思えるために必要な条件を挙げるならば、次の4つになるでしょう。

・自分で自分を否定しないこと
・いくつになっても新しい一歩を踏み出すこと
・家族や大切な人に、心からの愛情を示すこと
・今日一日を大切に過ごすこと

あくまでも私個人の結論、考えにすぎませんが、おそらく多くの人にとって、この4つは人生を豊かにし、後悔なく生きるうえで本当に大切なことではないかと思っています。

しかし、人生にはさまざまなことが起こります。病気をしたり、大きな失敗をしたり、人間関係で傷ついたりして、つい自分を否定したくなったり、新しいことに挑戦するのが怖くなったり、まわりの人を大切にできなくなったりすることもあるでしょう。

また、世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴うさまざまな出来事により、人生の喜びや生きる意味を見出せなくなっている人が増えています。