3月18日に緊急会合を開いて今後の措置に結論

問題のアストラゼネカ製ワクチンは、接種と血栓との因果関係は不明だ。欧州連合(EU)の医薬品規制当局、欧州医薬品庁(EMA)は声明を発表し「ワクチン接種者の血栓の症例数は一般に見られるより多くはないようだ」との見解を示した。3月18日に緊急会合を開いて今後の措置について「結論を出す」としている。

EMAによれば、10日の時点で、EUでアストラゼネカのワクチン接種を受けた500万人のうち、血栓塞栓そくせん症を起こしたのは、30人だという。

アストラゼネカは2月5日、日本に承認申請を行っている。現在、厚労省が審査を進めている。

血栓は血の流れがよどんでできる塊だ。血栓が飛ぶことで深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症、脳梗塞、心筋梗塞などの血栓症を引き起こす。新型コロナウイルスに感染すると、血栓ができやすくなることも分かっている。

欧米各国が接種に前のめりとなるのは当たり前のこと

日本はワクチンにどう向き合うべきか。日本のコロナウイルスの死者や感染者は、欧米に比べると著しく少ない。これは日本以外の中国、韓国、台湾といった東アジアに共通する傾向だ。たとえば人口100万人あたりの死者数(3月14日現在)は、英国が1852.4人、米国が1615.9人なのに対して、日本は67.9人、韓国は32.7人、中国は3.4人だ。このため東アジアの人たちには、コロナウイルスにかかりづらく、死にづらいという何らかの因子があると考えたほうが自然だろう。

そう考えれば、日本は必ずしも欧米のようにワクチン接種を急ぐ必要はないだろう。欧米の感染状況は厳しい。しかも今回のワクチンはどれも欧米で開発されている。欧米各国が接種に前のめりとなるのも当然だ。

一方、日本にはまだ余裕がある。そもそも日本人全員がワクチンを打ったとしてもコロナウイルスはなくならない。すぐにマスクを外せるとは限らない。副反応や感染予防効果などの状況を見きわめてから、本格的な接種に乗り出しても遅くはない。