「mRNAワクチン」の接種から長期間すごした人はいない

しかし、一般的にワクチンは人体にとって異物で、どうしても副反応が出る。mRNAワクチンも臨床試験(治験)中から倦怠感、頭痛、局所の腫れ、筋肉痛、関節痛などの副反応が表れた。激しいアレルギー反応を引き起こすアナフィラキシーも出ている。こうした副反応の大半は、接種後30分以内に起きるので対処は可能だ。

問題は半年、3年、5年という長い期間を挟んで、mRNAワクチンがどう人体に影響を与えるかである。ワクチンとして実用化されるのは初めてだし、接種してから長期間を経験した人はいない。それだけに接種後の数年後の状態が実に不透明なのである。

温度計によって顧客の温度をスキャン
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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ワクチンの専門家たちは「投与されたmRNAは体外に排出され、消えてなくなる」と説明する。しかし、体内に抗体ができるわけだから人の遺伝子に何らかの傷跡は残る。さらなる分析のためにはファイザー社などがmRNAワクチンに関するすべてのデータと情報を開示する必要がある。そうした情報は製薬会社にとって企業秘密で、開示がままならない。

ここは承認した厚生労働省、つまり政府がファイザー社などにきちんとデータの開示を求め、的確な情報を私たち国民に提供してほしい。

ドイツ、フランス、イタリア、スペインでも使用中断に

報道によると、デンマークでは3月11日、60歳代の女性が接種後に血栓ができて死亡したことを受け、イギリスの製薬会社アストラゼネカが開発した新型コロナワクチンの接種を、2週間をめどに停止している。

3月15日には、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの4カ国が予防的措置などとして使用中断を発表した。欧州ではこのほか、ノルウェー、アイスランド、ブルガリア、アイルランド、オランダも同様に中断している。

アストラゼネカ製のワクチンは前述のmRNAワクチンとは違い、「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるもので、弱毒のアデノウイルスなどに新型コロナウイルスの遺伝情報を組み込んで製造する。エボラ出血熱のワクチンとして近年、接種され始めたものの、広く一般的に使われているわけではなく、今回が初の実用化と言っても過言ではない。それゆえ、mRNAワクチンと同様に長期間を経た後の影響が不透明である。