「限られたワクチンを有効に使い、円滑接種を」と読売社説

3月12日付の読売新聞の社説は「限られたワクチンを有効に使い、円滑に接種を進めねばならない。政府は、供給見通しなどを正確に伝え、市町村の準備を後押しすべきだ」と書き出し、中盤で次のように指摘する。

「4月末までに配られる高齢者向けワクチンは、1瓶5回分とすると約140万人分にとどまる。高齢者約3600万人の4%弱しかカバーできない」
「ワクチンは世界的に不足しているとはいえ、十分な量を早期に確保できるよう、政府は一層の努力を尽くしてもらいたい。供給が限られる現状について、率直に説明することも必要だろう」

「有効利用」「円滑な接種」「準備を後押し」「十分な量を早期に確保」と読売社説はワクチンに対してとても肯定的だ。

読売社説は「医療従事者や会場の確保などの準備に追われる市町村にとって、供給量や時期についての情報は不可欠だ。現実的なスケジュールで接種を進められるよう、政府は甘い見通しを排し、適切に供給予定を明らかにすることが重要だ」とも主張する。

確かにワクチンは感染症の流行を封じ込める武器になる。しかし、ワクチンの供給に前のめりになり過ぎると、痛い目に遭う。過去のワクチン行政の失敗や薬害が証明している。接種直後の副反応だけでなく、長期的視野での人体に与える影響も考慮する必要がある。

「自治体に丸投げせず、指針を設けて混乱を避けろ」と産経社説

2月28日の産経新聞の社説(主張)は「ワクチンの配分 自治体任せでは混乱招く」との見出しを掲げ、こう訴える。

「河野太郎ワクチン担当相は記者会見で、『どの市町村で接種を行うか、どう配分するかは、各都道府県に調整をお願いしたい』と述べた。東京、神奈川、大阪の3都府県に第1陣で届くのは約2千人分で、他の道府県へは約1千人分だ。どう分けるというのか。自治体へ難題を丸投げせず、指針を設けて混乱を避けるべきだ」

自治体に丸投げしたのでは、ひ弱な自治体ほど混乱する。ワクチン接種が国家戦略である以上、政府が責任を持って最後まで遂行すべきだろう。しかし、ワクチンを是として頼り切るのは良くない。

繰り返すが、数年という時間を挟んだ、人体への影響や副反応に関しても想定しておくべきである。先の見えた高齢者へのワクチン接種は必須だが、将来のある若い人たちは接種を慎重に検討してもいいと思う。