会社員のズュータンさんの元妻は、地域の民生委員に誘われたのをきっかけにマルチ商法にハマり、ついには娘を連れて家を出て行ってしまった。ズュータンさんは、「マルチ商法の会員は、非科学的な安全話を提示し人の心を揺らして勧誘する。私の元妻は、もともと医療や食、健康に関心が高く、真偽が確かではない情報を信じ込みやすかった」という――。

※本稿は、ズュータン『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

暗闇から光のほうへ手を伸ばす
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身近で信頼できる人に誘われると深入りしやすい

マルチ商法の勧誘と言うとどういうシーンが思い浮かぶだろう?

ある日、しばらく連絡を取っていなかった友人から連絡が来る。久しぶりの再会に心がはずむ。そして会ってみると「かんたんに儲かるいい話がある」と話を切り出され、ガクッとしてしまった──。そんな経験のある人は、少なくないかもしれない。さらに最近ではSNSやマッチングアプリで知り合った人から勧誘されたという話も増えてきている。

行政や学校でも、こうした人たちからかけられる「誰でも」「かんたんに」「楽して稼げる」という言葉には気をつけましょうと、注意喚起をしている。しかし、身近で信頼できるように見える人から勧誘されることもめずらしくない。むしろ僕が聞いたり調べたりした範囲では、マルチ商法に深入りしてしまうケースほど、勧誘のきっかけは身近で信頼できるように見える人からだ。

僕の妻も、地域の民生委員を務める平泉さん(仮名)という身近な60代の女性からマルチ商法で有名なX社に勧誘された。