晩婚化や未婚化など、少子化につながる婚姻に関する問題は、これまで「女性の問題」とされてきました。しかしニッセイ基礎研究所人口動態シニアリサーチャーの天野馨南子さんは、「これは大きな誤解で、実は男性の方が深刻」と指摘します。天野さんが、統計データをひも解きながら解説します――。
幸せな新郎新婦
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「結婚」にまつわる大きな誤解

人口について、さらには結婚については、本当に誤解が多いことに驚かされます。一般の人たちだけでなく、時には行政関係者さえもが、客観的な統計データからわかることとは全く逆の「思い込み」で動いていることがあります。

そうした「思い込み」が大きい分野の一つに「婚期」があります。

2018年の婚姻統計によると、初婚の女性で一番多い成婚年齢は26歳です。「女性が26歳なら、男性は30歳くらいで結婚する人が一番多いのでは」と思う方も多いかもしれませんが、実は男性の成婚年齢も27歳がピーク。女性とそんなに変わらないのです。

そして男女とも、ほぼ、このピーク年齢のあたりに婚姻届の件数が集中していて、そこから離れるにしたがって急激に件数が減っていくほぼ「正規分布」構造になっています。男性は27歳、女性は26歳を過ぎると成婚数ががくんと下がっていきます。

初婚同士のカップルの年齢差は、1.7歳で推移しています。さらに、婚姻届けを出した人たちの年齢差の成婚分布傾向を見ると、男性も女性も、自分と同じくらいの年の相手と成婚しているケースがほとんどなのです。