婚期を甘く見た男性たち

「『婚期』というのは、年齢が上がると子どもを授かりにくくなる女性だけの話で、男性のオレには関係ない」「男性の婚期は幅があり、いくつになっても若い女性と結婚できる」というのは大きな間違いです。統計上、男性女性で大差がなく、26と27歳が結婚のピーク、婚姻届の過半数が27歳までの女性と28歳までの男性が提出した婚姻届なのです。男性であっても婚期を甘く見てしまうと成婚は厳しいのです。

ただ「婚期を甘く見てしまった」という自覚を持つことができた人はお相手が見つかる可能性があります。なぜなら、年齢別の男女の人口は60歳までほぼ同じで、男女とも、18歳以上35歳未満の未婚者のおよそ9割は「いずれは結婚したい」と考えているわけですから、一夫一婦制である以上、年の差婚を夢見ずに1、2歳の年齢差で「離婚歴のある人は嫌だ」などと言わずに相手を探すなら、統計上は相手がいない(数が合わない)わけではないはずなのです。

ポイントは男女とも「1、2歳の年齢差で探せば」というところです。女性は年齢が上がると、自分と年齢が同じくらいの男性や年上の男性も受け入れますし、再婚の男性とも結婚を考えます。ところが、初婚の男性は40代、50代、時には60代になっても、相変わらず20代の初婚の女性を望むような方が少なくなく、とにかく「若い相手を」という夢を追ってしまいます。

芸能人の「年の差婚」は「統計的な外れ値」

こうした話をすると、「でも芸能人の○○さんは、初婚で十歳以上年下の女性と結婚したではないか」と反論する人が出てきます。この秋は、ナインティナインの岡村隆史さんが50歳で12歳年下の30代の女性と結婚したというニュースが話題になりました。

しかし、実際に統計の数値を見てみると、2018年のデータでは、初婚で婚姻届を出したカップルのうち、男性が50代初婚での成婚はわずか0.7%。統計的には「ない」と言っていいレベルといえます。そして、この統計的にはないと言っていいレベルの50代の男性の成婚のうち、相手の女性が30代だったのは約3割。つまり、岡村さんのケースのように、50代の男性と30代の女性が初婚同士で婚姻届を出した割合は、全初婚カップルの0.2%となり、500組に1組にすぎません。

こうしたケースは芸能ニュースでは「年の差婚」などともてはやされ、「男性の婚期は幅があり、いくつになっても若い女性と結婚できる」「未婚化は女性の問題」という印象を持ってしまう方も多いかもしれません。しかし、未婚化は、統計で見ると女性よりも男性のほうがずっと深刻です。

そもそも、誰もが当然だと思うような結婚はニュースになりませんから、「統計的な外れ値」にあたるものほど大きく取り上げられます。さらに、今はインターネットで記事を読むことが多いので、「年の差婚」の記事を読めば読むほど、類似の記事がネットの推薦機能によって画面上に次々と表示されます。この推薦機能によって、見たくない記事から遮断され、世の中には自分の興味があるニュースばかりが起こっているかのように感じてしまう「フィルターバブル」と呼ばれる状態に陥る方が多いのです。