“少子化問題”には誤解が多い
出生数の減少、と聞くと「また女の責任話? 産む機械じゃないわよ!」と腹立たしく感じる女性、「ああ、女性が高学歴化して晩婚晩産しているからなあ」とつぶやく男性、はては「ダイバーシティの時代、LGBTも増えたし、結婚したくない人も激増したからね!」との声にうんうんと頷く人々が少なからず見受けられます。
しかし、これらはすべて、統計的なエビデンスを丁寧に読み解くならば「そうである」ということができない誤解の数々です。
98歳で亡くなった大正生まれ・戦争経験者である私の祖母がいつも言っていた口癖があります。「日本はな、アメリカがB29で原爆落とせた時代に、私たち女に『竹やり部隊』で戦えだの、日本を敵に回したらアメリカのご婦人が憤慨するぞ、絹の美しい服が着れなくなるからな、だの言っていた。その頃、アメリカでは化繊が開発されとったのにな。敗戦して当たり前の国なんや」
エビデンスに基づかない、気合い・期待や思い込みでは事実は動きません。今の日本人消滅へ一直線の出生数大激減の元凶も、祖母のいう「日本の敗戦理由」と全く同じと感じています。
筆者にとっては予想通りに出生数が80万人台に突入し、メディアでも80万人台ショックが流布されている今、思い込みによる「出生数上昇したらいいな策」「上昇するんじゃないかな策」ではなく、出生数激減解消の壁となっている思い込みたちを打破する、「これをやらなければ出生数はあがらない策」をデータエビデンスとともにお伝えしていきたいと思います。