<日本をはじめアジアに分布するオオスズメバチがアメリカで確認されて問題になっているが、はじめての駆除作戦が実施された……:松岡由希子>

オオスズメバチは、日本をはじめ、東アジア、東南アジア、インドにわたって広く分布する世界最大のスズメバチだ。攻撃性が高く、毒性の強い多量の毒を持ち、毒針と強力な大顎で捕食対象を攻撃する。

オオスズメバチ
写真=iStock.com/Bruno Uehara
日本をはじめアジアに分布するオオスズメバチ

米国では、2019年12月にワシントン州で初めてその生息が確認されて以来、ワシントン州農務省(WSDA)がその実態調査をすすめてきた。2020年7月にはカナダと接する同州ワットコム郡で初めてオオスズメバチが捕獲され、その後も同郡で数匹が捕獲されている。

無線タグを取り付けて放ち、無線タグを通じて巣の位置を追跡

ワシントン州農務省では、これまでにいずれのオオスズメバチもワットコム郡で捕獲されていることから、オオスズメバチの巣が同郡内にあると推定し、地域住民の協力のもと、数百カ所にワナを仕掛けた。ワナを仕掛けてオオスズメバチをおびき寄せ、捕獲して無線タグを取り付けたうえで解放し、無線タグを通じて巣の位置を追跡しようという作戦だ。

10月21日、オオスズメバチ2匹の捕獲に成功。ワシントン州農務省の公式ツイッターアカウントでは、無線タグを取り付けられたオオスズメバチがイチゴジャムを食べる様子が投稿されている。

その翌日の10月22日には、ワットコム郡ブレインの私有地にある樹洞でオオスズメバチの巣が見つかった。米国で初めてオオスズメバチの営巣が確認されたことになる。数十匹のオオスズメバチがこの巣を出入りする様子は、ワシントン州農務省の職員によって目撃されている。